« Vancouver遠征 その2 FUN | メイン | Vancouver遠征 その4 ご当地うまいもん »

2017年08月24日

Vancouver遠征 その3 ICOI学会

1708_ICOI (4).jpg

バンクーバー遠征の主目的は、国際インプラント学会(International Congress of Oral Implantologist/ICOI)第45回world congressへの参加です(^^)v

1708_ICOI (19).jpg

このICOIという学会は、AO(Academy of Osseointegration)やEAO(Europian Association for Osseointegration)よりも歴史のある口腔インプラントの学会だが、AOやEAOに比較して大学や研究所からの基礎的な研究発表は少なく、臨床家によるcase presentationが圧倒的に多い。したがって難しい数字やグラフの羅列の発表を延々と見せられることがなく、斬新なテクノロジーや海外の臨床家の仕事ぶりを拝見するという意味では、僕のような町医者にとっては気楽で面白い学会だ。しかしどこの学会でも大なり小なり政治的な背景はあるのだが、特にICOIは世界中の”目立ちたがり屋”によるpoliticalな要素が強い学会でもあることを承知している。僕は胡散臭いことには関わらないようにしている。

1708_ICOI (1).jpg

1708_ICOI (3).jpg

初日はレジストレーションして、主にポスターによるプレゼンを中心に見た。
若手の臨床家による発表が多く、相変わらず「さぁ、どーだ!」的な”やりました症例発表”が目立つ。
NYUの綺麗な女医さんに「この症例の10年後の予後を、どのように予測しますか?」と質問して困らせていたら、肩をポンと叩かれ、振り向いたら僕の師匠スマイラー先生だった。
彼はポスター発表の座長でもあり、各プレゼンの評価票を記入していた。

HUGをして、昨年3月のサンディエゴのAO学会以来の様々な出来事、例えば我が家の愛犬ペリオ(スマイラー先生もよく知っている)が死んだことなどやスマイラー先生の奥様のAnneの健康状態などを語り合った。
企業の展示会場には、初日の夕方だけ"welcome reception"として無料でビールやワインの振る舞いがある。
タダ酒はグイグイいっちゃうので酔っぱらうね。

1708_ICOI (5).jpg

日本人のグループがいた。今年1月にこの学会の重鎮でco-Chairmanだったカール・ミッシュ先生のポストに、日本の鈴木先生が就くことになって、今回その認証式があるらしい。鈴木先生とその取り巻きの先生たち10名くらいが日本から参加しているとのことだ。
彼ら以外で日本からの参加者は、僕ら夫婦と八戸の熊ちゃん夫妻だけのようだ。
7月にICOI Japan congressが大々的に東京で開催されたので(僕は行かなかったが)、遠路バンクーバーまで勉強しに来る人は少なかったのだろうね。

1708_ICOI (10).jpg

1708_ICOI (11).jpg

コンベンションセンターはめちゃくちゃでかい。屋根には芝のような草が植えられ省エネに役立っているのだそうだ。
二日目、三日目は、main podiumを聴いた。
著名なインプラントロジストと選ばれた若手のインプラントロジストが、各々1時間の持ち時間で、プレゼンする。
きっちり時間通りに発表することがこの学会の掟でもあり、プレゼンテーションの上手さも重要で、勉強になる。

1708_ICOI (6).jpg

前半は審美領域のインプラントと、デジタルデンティストリー。
Dr. Pikosのプレゼンは以前聴いた時にとても刺激を受けたので楽しみにしていた演題のひとつだったが、今回は自分のセミナーのPRばかりで、ちょっと違和感を感じた。
10年以上前に初めてスマイラー先生と一緒にアラスカフィッシングに行った時のグループ・メンバーのひとりに、ちょっとしたことですぐに泣く若いカナダ人ドクターがいた。
その泣き虫Yvan(イワン)先生は、骨吸収著しい難症例に対して見事なまでにデジタルを駆使した症例を発表し、僕は拍手喝采してやった(上から目線)。

ロマリンダのKAN教授は相変わらず繊細で緻密なところを突いてまたまた感心した。
本学会の重鎮ADY PALTI先生は骨幅の狭いところにピエゾでチャンネリングしブレードインプラントの症例を紹介していた。
隣席のおしゃべりなカナダ人歯科医が、「ブレードをどう思う?」と聴いてきたので、「昔やったことがあるけど、骨内で沈下するよ」と説明してやったら、「ブレードをやったことがあるのか!?」とびっくりされた。

1708_ICOI (8).jpg

1708_ICOI (16).jpg

フロリダ→NY→LAで講演後にバンクーバー入りしようとした友人のジャック・クラウザー先生。
パスポートが必要だったことをLAからフライトしようとした時に指摘され、フロリダの自宅からパスポートが届くのを待って2日遅れでバンクーバー入りしたので、プレゼンの順番が最後の方になった。そういえばだいぶ昔に、東京で講演した後に台湾に向かったが、台北の空港でビザを持っていないので入国を拒否されてそのままアメリカに帰ったということがあったっけ。講演後そんな話で盛り上がり、笑った。
ジャックの発表のテーマは僕の嫌いなAll on fourについてだったが、彼がそこに至るまでの経緯が興味深かった。BranemarkのBone anchoerd full bridgeとAll on four, sixとで何が同じで、何が違うか? A-P spreadについての解説(スマイラー先生と共通の友人でもある故 Charles Englishの論理)面白かった。
All on fourは、上部構造をPMMAにするならやってみてもいいが、ジルコニアなら絶対やらないと、僕は確信した。

1708_ICOI (14).jpg

もちろんスマイラー先生の話も面白かったが、いちばん最後の演者Dr. Michael Smilanichの「Management of Bruxism, Parafunction and Vertical Collapse in the Implant Patient」と題した講演はミラクルだった。
最も興味のあるテーマで、楽しみにしていた演題だったが裏切らなかった。
僕の臨床の芯の部分である「修復・再建治療における最も重要なことは”咬合”」ということを、Mikeはシビアな症例を通して訴え続け、同感し、面白かった。

1708_ICOI (18).jpg

最後のケースでは、咬合修正後最終補綴を下顎ですべて金合金冠で修復をして、会場を驚かせた。
セラミック全盛の現在、この金ピカ修復の意味することを、今時の若い歯科医は理解できているのだろうか?

「ブラキシズムはパラファンクションではない」というオーストリアン・ナソロジーを支持する熊ちゃんでさえ「真面目で丁寧なドクターだね」という感想を漏らしていた。
学会終了なので、ジャックとスマイラー先生に挨拶に行ったら、講演を終えたばかりのMikeが僕の顔を見て、「以前一緒にアラスカに釣りに行ったよね」と、握手してきた。
思い出した!これまで3度アラスカフィッシングに行ったけど、2度目の時に一緒だった。釣りを終えて夜に酒を飲みながら「咬合」についてディスカッションした、あのMikeだった!!
懐かしいドクターと再会できて嬉しかった。

1708_ICOI (17).jpg

デジタルの進化も、”navident”という新しい時代に達している現状を学んだ(自分は採用するかは疑問だが)。
医療現場もだんだんAi化しているが、個人差が大きい顎位や咬合、欠損形態、そして習癖やパラファンクションをどのようにプログラミングできるのか・・・と考えながら、そして久しぶりにカミさんと歯科の話をしながら学会会場を後にした。
あっという間の二日半の学会でした。

1708_ICOI (9).jpg

投稿者 takagi : 2017年08月24日 10:53

コメント

コメントしてください




保存しますか?