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2017年05月30日

天地始之事

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夜中に目が覚めて、何気に手元にあった本を開いた。人類に信仰や宗教心が刷り込まれていくプロセスについて書かれた本だったのだが、日本におけるキリスト教弾圧の時代、隠れキリシタンが、およそ250年間にわたってその心を表面上偽ってきたことに、あらためて驚愕を覚える。

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 キリスト教においてはバイブルから教えを学ぶことが主体である。多くの人たちが文字を読むことができなかった時代に、教会では絵でバイブルの中身を紹介して布教していた。欧州の古い教会にある美しいステンドガラスは、すべてバイブルの一節を絵にしたものだし、宗教画が多く描かれたのも多くは文盲者への布教が目的だった。1549年にザビエルが来日してキリスト教を布教した当初、たいていの日本人が文字の読み書きができるということに西洋人宣教師たちは驚いたそうだ。そして、そんな知的な日本人へのキリスト教布教のためには、神話的や子供だまし的な手法よりも、自然科学的な理論に基づく説得法が有効であるので、科学者の宣教師を送り込むべしと、母国の教会に対してザビエルは言ったそうだ。(現代日本では、文字を読む人よりも、漫画を“読書”と言っている人が多いようだが)

 1613年、家康によってキリスト教の禁制が敷かれる。隠れキリシタンは、バイブルを本として持つことは身の危険にさらされることになるので、口伝えに継承されたのだろうと推測されている。キリスト教の弾圧が解かれた後、明治になってからその250年余りの間に伝承されてきた内容が「天地始之事」として記され、残されている。これは1931(昭和6)年に研究者の田北耕也が公表し、遠藤周作のエッセー「切支丹時代」にも取り上げられている。

 その「天地始之事」のことが気になって眠れなくなり、調べ始めたらそれが面白くて、ますます目が冴えてくる。聖書から得られた話を数世代にわたって語り継いできたわけで、世界共通のバイブルを読んでいる現代に生きる者からすると、その伝言ゲームは大いに笑えるのである。そして身震いするほど感心させられるのである。知的好奇心によって完全に目が覚め、ほとんど眠らぬ一夜を過ごしたが、何か神の啓示にあったかのような充実した清々しい朝を迎えた。

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「天地始之事」の主な登場人物の名前を列記するが、それだけでも吹き出しそうになるでしょ。

 じゅす・きりしと=イエス・キリスト
 でうす(天帝)=ゼウス
 丸や=マリア 
 びるぜん=ヴァージン 「丸やはびるぜんだった=マリアは処女だった」となる(笑)
 あんじょ=エンジェル
 じゅすへる=サタン
 あだん=アダム
 ゑわ=エヴァ(イヴ)

投稿者 takagi : 2017年05月30日 08:09

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