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2009年11月03日

一般向けインプラント本

抜井規泰・著
「知らないと怖いインプラント治療」
後悔しない20のポイント
(2009年/朝日新聞出版)

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著者は若い朝日新聞の記者。
インプラント治療の名医とヤブ医者の見分け方を書いた、帯や題字、装丁からしてなんとなくおどろおどろしい(笑)雰囲気の一般向けの健康本だ。

インプラントは間違いなく、地上で最も優れた人工臓器であり、最良の治療を受ければ人生が変わるくらい、幸せになれる。しかしその一方でヤブ医者にかかって失敗したら、後悔しか残らない。
ワーキングプアな歯科医が増加し、経営の為にインプラントを手掛ける歯科医が増え、死亡に至る医療事故まで起きた現状や「インプラント認定医」の実態を新聞記者ならではの切り口で説いている。


取材ソースのドクターの偏見によるのだろうが、読み方によっては、ブレードやサブペリ、歯内骨内ピンインプラントなど歴史的なインプラントをも推奨していること、手術は立位が座位に勝るという件など、「?」な部分も少なくはない。
「米どころ」で失敗が多いという記載や、(社)日本口腔インプラント学会の認定する100時間講習を受講したインプラン専門医こそが信頼できる、という点も納得しがたい。
(特に前者は「米どころ」で開業している立場からすると、「えっ!」と目が大きくなる)

歯科医師国家試験にインプラントに関する出題がないという点は事実と異なる。
6、7年前から国試に毎年2~3問のインプラント関連が出題されているので、僕は大学でのインプラントの講義の中でそれを紹介している。

インプラントの成功が「外科手術」に傾倒しており、インプラントにおける成功の重要なカギである「補綴設計、咬合」や「治療後のメインテナンス、フォローアップ」などへの言及がなされていないことが残念。

この手の本にしばしばみられる巻末の「お薦めの歯科医院一覧」がないのが、胡散臭くなくてよい。
歯科医では書けない(書きにくい)事をズバズバ書いているのは、私個人としては読んでいて面白かったが、実際に臨床の場でインプラントを行っているドクターにすればいささか不愉快な点もあると思う。
いかにも朝日の記者!っぽく、モノを斜めから見た独断的な表現も随所にあって、一般の読者が誤解したり、妄信したりすることは容易に想像できる。
しかし本書を読んで来院する患者は、良くも悪しくもそうとう手強いはずだ。
インプラントを手掛ける歯科医の一人として、さらに勉強し研鑽を積んでいかなければならないことを再認識するきっかけとなった。
「患者の幸せを第一に」真摯にインプラントに取り組まなければならない。著者の目論見がそうであるように。

投稿者 takagi : 2009年11月03日 12:10

コメント

本の筆者です。
先生のご指摘、大変勉強になりました。
つきましては、さらにインプラントへの理解を深めるうえで、先生のご意見も伺いたく、メール致しました。
現在、国外に長期出張中なのですが、5月に一時帰国いたします。その折にでも、お時間を頂けませんでしょうか。

投稿者 抜井規泰 : 2010年03月17日 14:49

ほほー、まさかあの本の著者から直々にコメントが頂けるとは・・・

僕は「闘い」が苦手で下手なので、尻込みしていますが・・・

帰国の折に、是非ご連絡ください。

投稿者 タカギ : 2010年03月17日 16:57

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