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2008年07月29日

ビスフォスフォネートによる骨壊死

数年前から骨粗鬆症などの治療薬であるビスフォスフォネート(Bisphosphonates:BPs)による顎骨領域に特有に発症する骨壊死が大きな問題となっている。
インプラントや骨移植などはもとより、抜歯など日常の歯科臨床において慎重に対応する必要がある。

BPsは、生体内活性物質ピロリン酸と類似の構造をもつ化合物で、強力な破骨細胞機能抑制作用を有する。
骨粗鬆症や、悪性腫瘍による高カルシウム血症、多発性骨髄腫あるいは乳がんをはじめとする各種固形癌の溶骨性骨転移や骨関連有害事象の治療に幅広く使われている。

2003年にMarxによってBPsによる顎骨壊死が最初に報告されて以来、多くの症例が集積されてきたが、BPsの作用機序や顎骨壊死発祥のメカニズムは正確に解明されていない。

これまでに報告されているBPs製剤の骨吸収抑制の作用機序としては、
1)は骨細胞の酵素活性阻害
2)は骨細胞のアポトーシス誘導
3)ヒドロキシアパタイトへのBPs沈着による骨微細構造の変化
4)抗血管新生作用
など

BPsによる顎骨壊死の診断基準(米国口腔顎顔面外科学会による)
1)現在、またはBP系製剤による治療を受けた既往がある
2)8週間以上継続する骨露出・壊死が顎口腔領域にみられる
3)顎骨に対する放射線治療の棋王がないこと
以上の三条件を満たす。

BPs関連の骨壊死のエックス線的画像所見(Bianchi,S.D.2007)
1)骨梁の構造変化
2)骨皮質の粗造化
3)骨硬化
4)腐骨形成
5)骨膜や上顎洞粘膜の反応による新生骨の形成

病因論や発症の危険因子正確に解明されていない現在、その予防や治療法は確立されていないが、現時点で推奨されている治療ガイドラインは、
1)露出骨や壊死組織の除去や粘膜弁による骨露出部の被覆などの積極的な外科処置は避ける
2)0.12%クロルヘキシジンによる局所洗浄と骨露出部の保護シーネ
3)周囲軟組織の二次感染予防と疼痛緩和を目的とした抗菌薬投与

以上の保存的治療を受けても壊死が進行し、病的骨折、皮膚‐口腔ロウ、広範な骨露出などを惹起する場合がある。

Engroffら(2007)は、外科的治療を推奨しており、治療時に考慮すべき事項を以下のように挙げている。
1)放射線性顎骨壊死と異なり、口腔粘膜はBPsによる有害な影響を直接的に受けない。
2)歯牙の存在によって引き起こされる活発なリモデリングが存在する。
3)選択的に破骨細胞の機能が阻害され骨芽細胞の機能は影響を受けないため、病変の周辺領域に新生骨の形成が認められる。
4)壊死骨と生存骨との境界は明瞭である。
  ↓
安全な顎骨切除域を決定する

【針谷他 日口外誌vol.54No.7 15-19 2008】

投稿者 takagi : 2008年07月29日 12:57

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